※大幅に修正and加筆車の電装弄りでは避けて通れない工具の一つオープンバレル型 圧着工具
オープンバレル・・・芯線と被覆に噛ませる羽(バレル)が付いた端子(ギボシやら平型端子、コネクターピンなど)が該当します
ペンチで端子を潰すことも出来なくはないですが、きちんと圧着出来ずすっぽ抜けるのが目に見えているので必ず専用の圧着工具を用いてください
ちゃんと芯線は芯線バレル・被覆は被覆バレルへ圧着してください
芯線バレルに被覆を噛ませることは欠陥となるので絶対してはいけません車用として人気があるのは
LOBSTER(エビ印)のロブテックス 電装圧着工具 FK-1全長:23.5mm
一般的な車の電装弄り(コネクタ端子までは弄らない)程度であれば、これで必要十分でしょう
○概ね2000円程度と低価格な割に結構綺麗にしっかり圧着できるので使用者は多い
○刃厚が太めで一回でしっかり全体が圧着される
○がた付きが無い
△裸圧着端子やワイヤストリッパはオマケ程度(裸圧着端子は必ずJIS認定工具を用いるべき)
×グリップがかなり堅めで薄いため手が痛くなる
×グリスや注油をしようが開閉が渋いまま
HOZAN(ホーザン) P-707 圧着工具全長:23.0mm
近年発売された(大体1年半ぐらい前だがこういう市場はサイクル長いからね)ばかりのトグル機構付きのオープンバレル型 圧着工具。成形確認機構は無い
値段が値段なため使用者はあまりいないと思われる
○コネクターピンまでほぼ全て圧着できる
○トグル機構なので軽い力でしっかり圧着できる
○動きがなめらかでグリップも太いので手が痛くなりにくい
△ダイスが多すぎる(個人的にはΦ表記ではなくmm表記のほうが嬉しいのだが)
×高価
×トグル機構なのでどうしてもグリップの開きが広くなるし根元のダイスは狭くなる
電線も含めた圧着具合を比較してみると
左:P-707
右:FK-1
芯線の圧着具合ですがP-707は大変綺麗でしっかり圧着されております
FK-1のほうは綺麗とは言いづらいですが十分な圧着具合です
左:P-707
右:FK-1
次に被覆だがやはり綺麗さではP-707で内側に丸く折れ曲がり被覆を押さえるように圧着
FK-1は逆に被覆へかっつり食い込んで圧着している
見やすいように銅線なしで圧着方式を見てみるが、これは本来の使い方ではないので参考程度に
まず芯線部分
左:P-707 (幅:3.0mm)
右:FK-1 (幅:3.8mm)
P-707は内側に寄せるように圧着。隙間が殆ど無くなるのでがっちり圧着されている
FK-1は上からほぼそのまま圧着。隙間が多いので細い芯線だと工夫しないと厳しいかも
次に被覆部分
左:P-707 (幅:3.5mm)
右:FK-1 (幅:4.4mm)
P-707は内側に寄せながら丸まるように圧着。被覆や芯線へのダメージが少なくしっかり圧着
FK-1は食い込ませるように圧着。被覆に食い込むので芯線へのダメージもあるかもしれない
圧着具合や方式を比較してみましたが
P-707はかなり綺麗に幅も狭く圧着は必要十分以上に仕上がる
FK-1は仕上げは雑で幅も広いが圧着は必要十分で仕上がる
価格や入手性ではFK-1に軍配が挙がり、使い勝手や仕上がりではP-707が優れていると言える
万人に勧めるならFK-1で、P-707は余程こだわる人でもなければ購入対象にならないだろう
オープンバレルの端子にはISOやJISに統一規格がない
そのため端子メーカーごとに、バレルの形状や太さなど大なり小なり異なる点が出てしまう
となると工具のほうもどうしても端子と相性が出てしまいますが、だいたい芯線側はあまり相性は出ないそうです。問題となるのが被覆側だそうで
例えばこのように被覆部分の爪部分(バレル)の圧着が折り重なっていますが、爪部分が被覆全体を包んでいるためこれでも被覆側の圧着自体には問題はないそうです(HOZANから資料を貰いました)
もちろん芯線のみ圧着した状態でも引っ張っても抜けずしっかり圧着されているという前提ですが
ちなみにケースは
エーモンの
ターミナルセット E3を改造
P-707よりも5mm長いFK-1ももちろん入る(本来こいつを入れるために工具収納部分の仕切りをカットしてたしな)
FK-1よりも横幅が増えたのでヒートガンで仕切りを曲げればご覧の通りぴったり入る
ターミナルセット E3に付属していた圧着工具(電工ペンチ)は全く使い物にならなかったよ
FK-1を使った後だとおもちゃにしか思えなくなるでしょう
そのFK-1もP-707を使った後だとry
オープンバレルではないギボシというのもある
オス側にもメス側にも最初から硬質の絶縁スリーブが取り付けられており、スリーブは外すことは出来ません
オス側も端子が露出しないフルカバータイプのスリーブですね
これを圧着させるには専用の工具が必要となります
絶縁被覆付き圧着端子/圧着スリーブ用の工具です
LOBSTER(エビ印)のロブテックス ミニ圧着工具 AK112MA絶縁被覆付の端子やスリーブもJISで規格化されておりません
成形確認機構があるので(解除ノブを使わない限り)ちゃんと圧着されるまでグリップは開きません
カチカチっとなるので仮押さえも容易
ケーブルの被覆と芯線とを同時に圧着します。ダイスの高さが手前と奥とで異なるので使用には注意
絶縁被覆付き圧着スリーブはそこそこ使い道が多いので意外と使用頻度が高いです
(JIS規格のある裸圧着スリーブは圧着後にテープ巻きしたり熱収縮チューブを使ったりして絶縁処理する手間がある)
圧着具合
左:AK112MA
中:P-707
右:FK-1
絶縁被覆で守られているのでわかりにくいな
普通のオープンバレルのギボシと互換があるのは1.25sqと2.0sq用です
今回0.5sqのケーブルに圧着させましたが、推奨されていない使い方なので1.25sqよりも細いケーブルには使わない方が良いかもしれません
(一応0.5sqや0.3sqでも強く引っ張っても抜けませんし、オープンバレルと同様に規格化されていないので、同じように「引っ張って抜けなきゃOK」と考えて使っています
でもメーカーの推奨外なのでお勧めはしません)
無駄に高い工具買いましたけどこれが工具集めの性ですな
※追記矢崎総業製のギボシと防水ギボシ用スリーブを手に入れました